ゴー宣DOJO

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切通理作
2011.10.9 06:23

予測を裏切る存在

オープニングも一新(#34から)!

ゴー宣ネット道場『切通理作のせつないかもしれない』の最新回がUPされました。

 

今回(第3334回)は二回連続で映画監督・佐藤佐吉さんをゲストにお迎えしています。佐吉さんは役者としても活動され、クエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』にも出演、「日本のチャーリー・ブラウン」として映画ファンに愛されています。

 

番組パートナーであるしじみさんの主演映画『半分処女とゼロ男』(10/28にDVDレンタル・発売)の監督もされましたが、なんと『せつないかもしれない』を見たことが、キャスティングを決めたひとつの巡り合わせとなったようです。

 

皆さんお気づきかもしれませんが、この番組は、しじみさんが居ることが非常に大きいのです。

毎回「本の話題」をすると決めているのですが、僕と、小林よしのりさんとの間にしじみさんがいなければ、もっと違った番組になるのではないでしょうか。

 

女優として狂気を秘めた役も、可憐な役も、はっちゃけた役も、変幻自在なしじみさんに、普段は座業で地味な生活を送っている僕が「この本面白い」「本も面白いけどこの人自身にも一緒に会ってみたい」ということを「わかってもらいたくて」やっているところがあります。

 

それによって、自分に何の得があるのかないのかもわかりません。

 

たぶんそれは猫が、近所の鳥のヒナやヤモリなどをくわえてきて、人間の前に「見て見て?」と見せる行為に近いと思います。

 

「俺はヒナやヤモリかい!」とこれまでゲストに来てくださった皆さんがたまたまこの文章を読んで、思ったとしたら、大変失礼いたしました。

 決して悪い意味ではないのです。だって、猫にとってヒナやヤモリは最上の価値があるものなのかもしれないのですから。

 

それは今回のゲストの佐藤佐吉さんが言った、自分が考えたことは、どんなにその場が気まずくなっても言わずにはおれない……という気持ちに近いと思います。

自分の頭の中にあるもの、考えていること、それがどんなものであっても、伝えたい、わかってもらいたいのです。

 

 

 

 しじみさんは、人の「言ってはいけないこと」を自ら引き出させる度量を持っているのです。

 

 佐吉さんは、折り目正しく育ってきた真面目人間なので、その反動で、「自分の行動が予測通りで、裏切られない」ことへの破壊願望を常に持っていると語ってくれました。

 

僕も普段は杓子定規な方です。どちらかというと神経質で、行動の予定もきっちりと決めて動きます。

 

『せつないかもしれない』も、台本まではありませんが、だいたいの話題の順番ぐらいは決めて進行します。

 

しかし、しじみさんとの間に必ずズレが生じます。

今回も、後半でシュテファン・ツバイクの『チェスの話』という小説の話題がされる中で、同じものを読んでも、受け取り方がまったく違うことがわかりました。

 

 

 きっちり作ったものが崩される。お互いひとつの盤で進めてたと思っていたゲームの展開が、実はまったく違う次元に存在していたことに気付かされる。ひょっとしたら、現実は現実で動いていて、自分だけが猛烈に空回りしているかもしれない。

 

「予想を裏切る存在が常にいるのは新鮮です」と今回しじみさんが言っていますが、僕にとって『せつないかもしれない』はまさにそんな番組です。

 

これからも、スリリングな「読書」番組にしていきたいと思っています! 

 

『切通理作のせつないかもしれない』

#33 しじみさん主演映画『半分処女とゼロ男』を佐藤佐吉監督と語る

http://www.nicovideo.jp/watch/1317395504 

#34 佐藤佐吉監督とツヴァイク『チェスの話』を読む

http://www.nicovideo.jp/watch/1317986084

 

※訂正 ♯34で、僕が佐吉さんからかつて薦められて見た三池崇史監督の作品を『殺し屋1』と言っていますが、正確には『極道戦国志不動』(96)です。『殺し屋1』(01)は後に佐吉さん自身が脚本を担当した三池監督の作品です。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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